コラム
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2024年12月24日
2018年の総務省の労働力調査によると、「週労働時間が49時間以上の者」の割合がイギリス11.5%、フランス10.1%、ドイツ8.1%に対して、日本は19.0%であることが分かりました。日本は他の国と比べて平均労働時間が長い傾向にあり、製造業も例外ではありません。
この記事では、工場で残業が増える原因と主な5つの解決方法をご紹介します。
目次
(1)製造業における人手不足
少子高齢化に伴い日本の労働人口が減少している中、特に中小企業では若年就業者の数が減少し、人手不足が深刻です。労働力が足りないため、1人が担う業務量が増え、時間内に終わらない仕事を残業でカバーしなければならない状況が生まれます。
(2)残業を当たり前と考える風土
バブル期からの名残りで、残業をポジティブに捉える上司がいる場合、部下も帰りづらくなり、残業が慢性化する要因となっています。
(3)生産能力を把握していない
工場の具体的な生産能力を把握していないと、受注量が生産能力を超えてしまい、残業が必要になることがあります。例えば、1日に100台の生産能力がある工場で120台の受注があると、20台分は残業でカバーしなければなりません。
(4)労働時間で働きを評価している
日本では労働時間で賃金が支払われることが一般的であり、特に工場では時間あたりの生産性で評価されるため、労働時間がそのまま評価につながります。このため、残業をすればするほど評価が上がると思われ、自主的に残業する人が増えてしまいます。
(5)業務の見える化ができていない
業務内容が特定の従業員に依存している場合、特定の人の負担が増え、結果的に残業が増える原因となります。業務の見える化ができていないと、仕事が特定の人に集中してしまい、非効率な残業が発生しやすくなります。
(1)5Sを徹底する
5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を徹底することで、作業現場や仕事のムダを省き、作業の効率化が図れます。リーダーを指定して定期的に工場を点検し、非効率な習慣やムダを発見することが効果的です。
(2)多能工化を行う
一人が複数の業務をこなせるようにすることで、特定の人に業務が集中するのを避け、全体の業務負担を平等に近づけることができます。これにより、一人当たりの残業時間も削減できます。
(3)残業を上司に報告させる
残業の事前報告制度を導入し、残業が必要な場合には理由や予定時間、残業内容を上司に報告するようにします。これにより、過剰な残業を防ぎ、適正な労働時間管理が行えます。
(4)ノー残業デーを作る
ノー残業デーを導入することで、実労働時間を短縮する効果が期待できます。曜日を固定せず、従業員が好きな曜日にノー残業デーを選べるようにすると、周囲を気にせず帰りやすくなります。
(5)労働時間を人事評価に組み込む
人事評価制度に残業時間や業務改善への取り組みを反映させることで、時間外労働削減への意識を高めることができます。管理職の評価項目にも残業管理を含めることで、トップダウンでの業務効率化が進みます。
残業の増加原因や状況は工場ごとに異なります。まずは自分の工場の課題を洗い出し、その課題に合わせた解決方法を導入することが重要です。
日本は他の国と比べて残業時間が長い傾向にあり、製造業も例外ではありません。工場の残業が常態化する要因として、人手不足や労働時間での評価システムが挙げられます。解決するためには、5Sの徹底、多能工化、残業の申請制度、ノー残業デー、人事評価の改善が有効です。
自分の工場の現状をしっかりと把握した上で、残業削減に取り組むことが重要です。
太平洋工業(株)新規事業推進部 営業企画グループ
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